Greubel Forsey
傾斜トゥールビヨンと立体オープン構造を核にした超高仕上げの複雑機構。日常道具というより、技術力と工芸密度を示すハイエンドな実験的作品に近い。
哲学
Greubel Forseyの哲学は、時計を徹底した実験対象として扱うことです。立体的な機構配置、傾斜テンプ系、極端に高い仕上げ、そして少量生産。万人向けの実用性より、技術と美の到達点を示すことを優先します。そのため評価は二極化します。工芸の頂点と見る声がある一方、ケースの大きさや価格の非現実性を指摘する声も強い。GFはその緊張関係を前提に、妥協しない少量複雑路線を貫いています。
歴史
Greubel Forseyは2004年に正式始動しましたが、土台はそれ以前に築かれています。Robert GreubelとStephen Forseyは1990年代から複雑機構開発で協業し、2000年代初頭にComplitimeを設立。自社ブランドでは、脱進機と調速の基礎を妥協なく再設計する方針を打ち出しました。
最初の決定打は2004年のDouble Tourbillon 30°です。立体的な機構配置、開放的な見せ方、高密度の手仕上げという同社の文法を早い段階で確立しました。以後、Tourbillon 24 Secondes、Quadruple Tourbillon、EWT系プロジェクトへ展開します。傾斜機構による精度向上は物語の中心ですが、日常使用での効果幅は外部で議論が続いています。
事業モデルも特殊です。年間本数は一般的なスイス高級ブランドよりはるかに少なく、価格は多くが6桁帯に入ります。仕上げと工数に対して妥当とみる層がいる一方、排他性そのものが価値化しているという批判もあります。
評価が割れるのは当然です。仕上げ水準は業界最高峰と称される一方、大型ケース、視認性のトレードオフ、日常実用性の低さを指摘する声も根強い。Greubel Forseyは、その矛盾を前提に成立しているブランドです。
アイコニック商品
Double Tourbillon 30°
2004年の出発点となったモデル。30°傾斜した1分回転トゥールビヨンを、4分で回転する外側ケージに収め、姿勢差による誤差を平均化する。立体的な設計と最高水準の仕上げが特徴。仕様により価格帯は概ね4,500万円から6,500万円相当。
Hand Made 1
自社技術を最も明確に示す一本。部品の大半を手作業で製作・仕上げし、現代では稀な工程まで再現する。生産数は極少で、入手は非常に限定的。市場で語られる価格目安は仕様次第で約1億円規模。