La Cornue
プレステージ・クッキングレンジ, 鋳鉄ヴォールト技術, 自然対流調理, フランス製職人仕上げ
2015年に米ミドルビー・コーポレーションが買収。同社はViking、AGA、Falcon、ILVEも傘下に収めていますが、買収後の品質低下が指摘されることもある巨大資本です。現時点ではフランスでの製造が継続されています。
哲学
ラ・コルニュの真髄は、唯一無二の調理原理「鋳鉄ヴォールト」にあります。ファンを使わず、丸天井の構造を利用した自然対流で熱を均一に伝えることで、食材の水分と旨味を最大限に引き出します。一台一台が手作業で組み立てられ、色彩や仕上げを自由に選べるオーダーメイドのレンジは、単なる調理器具を超えた「キッチンのモニュメント」です。
歴史
1908年、パリの薬草商であり調香師でもあったアルベール・デュピュイは、都市ガスの普及という時代の転換点に、料理の世界を塗り替える画期的なアイデアを抱きました。香水製造に用いる蒸留器(コルニュ)の構造からヒントを得た彼は、熱を食材の下から当てるのではなく、鋳鉄製の「ヴォールト(丸天井)」によって熱風を対流させるオーブンを開発。これが世界初の自然対流式オーブン「ラ・コルニュ」の誕生でした。
デュピュイ家3代にわたり、ヴァル=ドワーズ県サン=トゥアン=ロモーヌの工房でこの技術は磨かれ、1950年代には象徴的な「シャトー」シリーズが誕生しました。鋼、銅、真鍮を用い、熟練の職人が一台ずつ手作業で組み立てるその姿は、調理器具というよりはもはや芸術品です。その価格は高級車一台分に匹敵し、世界中のトップシェフや美食家たちの羨望の的となってきました。しかし、2015年、107年続いた家族経営は米国のミドルビー・コーポレーションへの売却により幕を閉じました。現在もフランス国内での製造と70名の雇用は維持されていますが、効率を重視する巨大資本傘下で、かつての妥協なき独立独歩の精神と職人品質が今後どのように守られていくのか、その動向が注目されています。
アイコニック商品
Chateau
1960年代に誕生した不朽のアイコン。ファンを使わない鋳鉄ヴォールト、鋼、銅、真鍮を用い、手作業で仕上げられます。調理器具の枠を超えた究極の家具といえます。
CornuFe
ラ・コルニュの世界への入り口となるシリーズ。象徴的な美学を継承しつつ、製造工程を効率化。愛好家の間ではサイズ選びが常に熱い議論の的となります。
Grand Palais (180 cm)
ラインナップの頂点に君臨する180cmの巨大モデル。大邸宅やプロ仕様のキッチンに向けた、最高級の素材と技術を惜しみなく投入したまさに「記念碑」的レンジです。