Leica
精密光学とレンジファインダーカメラ。ライカは1914年、オスカー・バルナックのUr-Leicaで35mmフォーマットを発明した。レンズ群(Summilux、Summicron、Noctilux)は光学描写の絶対的基準。Mシリーズはアンリ・カルティエ=ブレッソン以来、フォトジャーナリストの定番。Rシリーズ(一眼レフ、1964-2009)は映画とスタジオ写真に足跡を残した。M6(1984-2022、2022年に復刻)は世界で最も人気のあるフィルムカメラ。
哲学
Leicaは急進的な哲学を体現している。機能を減らし、写真そのものに集中する。1869年以来、ヴェッツラーの工房は何十年も使えるカメラと光学機器を手作りしてきた。余計な自動モードも複雑なメニューもない。ボディ一台、レンズ一本、あなたの眼。その価格はドイツ最高峰の職人技と妥協なき光学性能の証だ。
歴史
1869年、Ernst Leitz Iはヘッセン州ヴェッツラーにあるCarl Kellnerの光学研究所を引き継ぎ、顕微鏡メーカーとして名を馳せた。だが全てを変えたのは、彼のエンジニアOskar Barnackだった。1914年、Barnackは35mmシネマフィルムを使う小さな試作機を作った。Ur-Leicaだ。巨大な大判カメラの代わりに、ポケットサイズのボディを持ち歩く。ヴェッツラー周辺で撮られた写真は驚くほど鮮明だった。
第一次世界大戦がプロジェクトを中断させた。1925年、創業者の息子Ernst Leitz IIが量産を決断。Max BerekのElmarレンズを搭載したLeica Iが市場に登場し、即座に成功を収めた。Leicaはポータブルフォトグラフィーを発明した。
1954年発売のLeica M3は、現代のレンジファインダーを定義した。明るいファインダー、距離計フォーカシング、Mバヨネットマウント。Henri Cartier-Bresson、Robert Capa、Elliott Erwitt、全員がMで撮った。フォトジャーナリズムはこのカメラから生まれた。後続のMシリーズ(M4、M6、M7)はその哲学を裏切ることなく磨き上げた。
しかし1990年代から2000年代は残酷だった。日本製オートフォーカス機(Canon、Nikon)がプロ市場を席巻。マニュアルフォーカスとフィルムに固執したLeicaは足場を失い、倒産寸前に追い込まれた。
2006年、オーストリアの実業家でコレクターのAndreas Kaufmannが持株会社ACMを通じて過半数株式を取得。大規模投資を行い、2014年にはヴェッツラーに新工場兼ショールーム「Leitz-Park」を開設、デジタル移行を推進した。M8(2006年)、M9(2009年)がレンジファインダーをデジタル時代に導いた。2024年にBlackstone Groupが45%の株式を取得、企業価値は約10億ユーロ。2026年初頭、BloombergはKaufmannとBlackstoneが支配株売却を検討中と報じた。
現在、Leicaは約2,400人を雇用し、過去最高の売上高5億9,600万ユーロ(2024/25年度)を記録。ラインナップは3つの柱で構成される。M11(デジタルレンジファインダー、ボディ約140万円)、Q3(Summilux 28mm搭載フルサイズコンパクト、約95万円)、SL3(Lマウントフルサイズミラーレス、約105万円)。
パリ、ロンドン、ニューヨーク、東京など世界20都市以上のLeica StoreとGalerieでは、販売、写真展、コミュニティイベントが融合する。写真業界でも類を見ないブランドエコシステムだ。
Reddit(r/Leica、r/photography、r/AnalogCommunity)では議論が絶えない。ファンは比類なき撮影体験、スローダウンを強いるレンジファインダーの魅力を語る。批判派は「Leica税」を指摘する。Sony A7R Vは技術的に同等以上で、価格は安い。それでもSummiluxとSummicronのレンズは光学の絶対的基準であり、ヴィンテージMレンズは中古市場で驚異的な価値を保つ。
Leicaは意図的な選択だ。スペックで買うものではない。150年以上ヴェッツラーで手作りされてきた、ある種の写真哲学を買うのだ。その価格に見合うかどうかは、各自が判断すればいい。
アイコニック商品
M6
世界で最も人気のあるフィルムレンジファインダー。1984年から2002年まで製造、2022年に忠実に復刻。純機械式、シャッターにバッテリー不要。
M11
1954年M3の後継フルサイズデジタルレンジファインダー。6000万画素、トリプル解像度、真鍮とアルミ筐体。
Summilux-M 50mm f/1.4
究極の標準レンズ。1959年以来6世代。立体的な描写、クリーミーなボケ、外科的なシャープネス。Mシステムを正当化する光学系。
Q3
Summilux 28mm f/1.7固定レンズのフルサイズコンパクト。6000万画素、AF、EVF。手が届くライカ(5,900ユーロが手頃なら)。新しい層にライカを開いたカメラ。