Nakamura Hamono
本割込み技法による青紙2号鋼の手打ち包丁
哲学
創業の日と変わらず、地域のために実用的な刃物を鍛える。宣伝なし、華やかなサイトなし。鋼と火と、1900年から父から子へ受け継がれる技だけ。
歴史
大分県中津市、1900年。鍛冶師の中村栄治が九州の中心に工房を開き、農村に必要な刃物を供給し始める。鎌、鉈、包丁。明治の日本は急速に近代化するが、九州の田舎では鍛冶は地域の仕事であり続ける。
工房は二度の世界大戦、戦後の工業化、関などから押し寄せるステンレス量産品の波を生き延びた。地元の農家と料理人が工業鋼と手打ち鋼の違いを知っていたからだ。
現在は創業者の孫、三代目の中村哲良(74歳)が工房を率い、四代目の息子・浩三が隣で鍛える。二人だけの工房、従業員なし、外注なし。鋼の棒から完成した刃まで、すべてが自家製。
看板技法は本割込み。軟鉄の刃を割り、中心に青紙2号の硬い鋼を挿入し鍛接する。硬い芯が鋭い刃と持続する切れ味を、柔らかい外皮が研ぎやすさと衝撃吸収を担う。日本刀と同じ論理を三徳や菜切りに応用する。
仕上げは黒打ち。刃の側面に鍛造の黒い酸化皮膜を残す。刃先だけを研磨。酸化層が炭素鋼を錆から守り、食材の付着を減らす。柄は地元産の桜材。
文化、三徳、菜切り、出刃、刺身。価格は100〜200ユーロ。四代目の手打ちとしては驚くほど手頃。堺や武生の同等品は倍する。
ウェブサイトなし、SNSなし、輸出戦略なし。数軒の専門店が鍛冶師ネットワークを辿ってこの小さな大分の町にたどり着いた。検索では見つからない、知る人に聞いて初めて出会える鍛冶屋。
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