ナイフの箱に青・白・赤の旗。その下、小さな文字で「フランスでデザイン」。製造ではない。デザイン。そのニュアンスは深い溝だが、旗が仕事をしてくれる。客は色を見て、金を払い、フランス製を買ったと確信して帰っていく。
買ったのは旗だ。
数字
2023年、Direction générale de la concurrence, de la consommation et de la répression des fraudes(DGCCRF)はフランス製造を謳う表示について全国調査を実施した。意識調査でもアンケートでもない。倉庫、店舗、ウェブサイトへの現地調査だ。
1,499の事業者が検査された。239に問題があった。16%。6社に1社。
数字は冷たい。だがその意味するところは熱い。棚に並ぶMade in Franceを名乗る商品のうち、6つに1つが嘘をついているということだ。統計的に、トリコロールを掲げるどのショーウィンドウにも、何かがおかしい。
手口
フレンチウォッシングは想像力に事欠かない。古典から変形、イノベーションまで。代表的なものを挙げる。
孤児の旗。 パッケージにトリコロールの旗が目立つように配置されているが、法的な表示は一切なし。「fabriqué en France」も「Made in France」もない。ただ三色だけ。消費者が自分でショートカットする。それが狙いだ。そして効く。包装に国家シンボルがあるだけで、テキストの記載がなくても、地元産という認識が生まれる。
曖昧な表現。 「フランスでデザイン」「フレンチデザイン」「フランスの伝統」「フランスのサヴォアフェール」「フレンチスピリット」。これらの表現はいずれも、製品がフランスで製造されたことを意味しない。「フランスでデザイン」とは、フランスのデザインオフィスが製品を設計したという意味だ。製造はどこでもありうる。「フランスの伝統」は法的には何の意味もない。
自己認証ラベル。 ブランドが独自のラベルを作る。安心感のあるロゴ、公的に聞こえる名前。「Qualité France」「French Craft」「Atelier français」。このラベルは誰も管理せず、何の義務も課さず、何の保証もしない。だが安心させる。
最終組立。 製品の95%が海外で製造される。最後の工程、ネジ止め、接着、梱包がフランスで行われる。技術的には、最後の実質的変更がフランスで行われたことになる。実際には手品だ。中国で加工されたナイフの柄、パキスタンで鍛造された刃。Tarn県の工房で組み立てるだけで、ナイフはフランス製になる。組み立ては3分。ラベルは製品の一生続く。
絵葉書。 パッケージにはフランスの田舎の風景、趣のある工房、作業台の上のしわだらけの手。テキストは遺産、テロワール、情熱を語る。製品は地球の裏側の工場から出てくる。ブランドの世界観は製品ではない。だが消費者は世界観を買う。
遺産の移転。 歴史的にフランスのブランドが買収され、生産は海外に移されるが、名前、本社の住所、ストーリーテリングは変わらない。消費者はフランスの町の名前を買う。届くのは別の場所で作られた製品。ブランドは嘘をついていない。ただ明示しなくなっただけだ。
死角
なぜこれが可能なのか? 規制に穴があるからだ。小さな穴ではない。
「Made in France」表示は関税法で規制されている。表示するには、製品がフランスで最後の実質的変更を受けている必要がある。だが「実質的変更」の定義は分野によって異なる。繊維なら縫製。家具なら組立。ナイフの場合は…不明確だ。
旗そのものは規制されていない。パッケージにフランス国旗を付けること自体は違法ではない。「パッケージのトリコロールはフランス製造を意味する」という法律はない。DGCCRFが訴追できるのは、全体の表示が「誤認を招く商業行為」に該当する場合のみ。欺く意図を証明しなければならない。時間がかかり、費用がかかり、結果は不確実だ。
罰則が科されても、抑止力になることはまれだ。紛らわしい旗を付けた製品を何万個も売った企業に数千ユーロの罰金。それは営業経費だ。計算は単純。詐欺の利益は罰金のコストを上回る。
公的なラベルは存在する。地理的表示保護(IGP)、食品のappellation d’origine contrôlée(AOC)、Entreprise du Patrimoine Vivant(EPV)ラベル。だがカバーするのは製品のごく一部。市場の大半は、誰もが好きなことを主張できる無法地帯だ。
そしてeコマースの問題がある。マーケットプレイスには、事前確認なしに「Made in France」や「French」を商品タイトルに入れる出品者があふれている。DGCCRFは実店舗を検査できる。オンラインプラットフォームで日々現れては消える何千もの商品リストを検査するのは別の話だ。レコメンドアルゴリズムは原産地表示を検証しない。売れるものを押し出す。そしてフレンチウォッシングはよく売れる。
結果は? フランス製を買いたい消費者に、検証する簡単な方法がない。調べ、照合し、疑わなければならない。立証責任は売り手ではなく、買い手にある。
本物と偽物を見分ける
それでも信頼できる指標はある。完璧ではないが、確かだ。
製造住所。 「fabriqué à [場所]」または「made in [国]」の義務表示は、唯一の規制された指標だ。欠落していたり隠されていたりすれば、危険信号だ。「designed in」「conçu par」「本社所在地」に置き換えられていれば、別の危険信号だ。
認証ラベル。 EPVラベルは国が授与し、5年ごとに審査される。独立した認証機関が発行するOrigine France Garantie(OFG)は監査を義務づけている。装飾的なロゴではない。仕様書がある。
サプライチェーンの透明性。 本当にフランスで製造しているブランドは、精確に述べる傾向がある。「フランスの伝統」ではなく、「Nontronの私たちの工房で製造」や「アルザスの私たちの鋳造所で鋳造」。詳細さが本物の証だ。
Opinelはナイフをchambéryで製造しており、それを隠していない。製造所の住所はウェブサイトに掲載され、工房のドアは一般に開放されている。ParabootはIzeauxとRomans-sur-Isèreに自社工場を持つ。Staubはアルザスの鋳造所でココットを鋳造している。J.M. Westonは一世紀にわたり、Limogesで革をなめし、同じ住所で靴を組み立てている。Le Creusetは1925年からAisne県のFresnoy-le-Grandで鋳造を続けている。
これらのブランドは「フランスのサヴォアフェール」とは言わない。住所を示す。
価格。 8ユーロの「フランス製」ナイフは疑問を呈する。40ユーロの「Made in France」ジーンズも同様だ。フランスでの製造には実際のコストがかかる。原材料、人件費、社会保障費、環境基準。価格がそのすべてを含むには低すぎると思えたら、おそらく理由がある。
なぜそれが重要なのか
経済的愛国心の問題ではない。少なくともそれだけではない。
フランス製でないのにフランス製と謳う製品を買うことは、何に対してもプレミアムを払うことだ。Made in Franceの上乗せは現実のもので、分野によって15~30%。工房、雇用、技を支えている。箱の上の旗だけを支えているなら、それは詐欺だ。
エコシステムの問題でもある。偽のMade in Franceに向かう購入は、本物のフランスの工房に向かわない購入だ。Thiersの刃物職人のポストやVallaurisの陶芸家の轆轤に充てられるはずだった金が、箱に旗を貼った輸入業者のマージンに消える。
市場は消費者が情報に基づいた選択をできて初めて機能する。フレンチウォッシングは判断基準を曖昧にする。同じ言葉、同じ画像、同じ色を使う偽者の群れの中に、本物のフランスメーカーを埋没させ、見えなくする。
結果は逆説的だ。本当にフランスで製造している職人は、それに伴うコストを背負い、同じ制約なしに同じことを主張するブランドと競争することになる。価格は高すぎるように見える。メッセージは他と同じに聞こえる。二重に負ける。
やがて、フレンチウォッシングは信頼を殺す。懲りた消費者は誰も信じなくなる。「Made in France」は意味を失った、もうひとつのマーケティング用語になる。そしてラベルが何も意味しなくなったとき、本物でさえ恩恵を受けなくなる。
できること
DGCCRFは仕事をしているが、リソースは限られている。フランス市場全体で1,499件の検査は焼け石に水だ。本当の力は、情報を持った消費者にある。
製造住所を確認する。EPVまたはOrigine France Garantieラベルを探す。法的表示のない旗を警戒する。本物のMade in Franceには価格があることを受け入れる。そして、本当に表示通りの場所で、見せている人々と、謳っている素材で製造しているブランドを見つけたら、大切にする。
まさにそれが、このガイドがやろうとしていることだ。選別すること。旗がセールスポイントであるべきではないからだ。セールスポイントであるべきは、製造住所だ。